手塚治虫ワールド


身内の家の30年開かずの扉を勇気を出して開けてみたら、箱の中からこのグラスが出てきました。掃除して良かった〜。ゴキブリの残骸も多数ありましたが、それを差し引いても嬉しさ100倍です。私の大好きなキャラクターばかり。夏目房之介さんが『手塚治虫は僕の潜在意識』と何かで読んだ気がしますが、まさに私の潜在意識となってます。鉄腕アトムから始まり手塚作品は成長過程でいつも側にありました。特にリボンの騎士は少女時代の胸キュン作品。以前手塚さん存命の時徹子の部屋で『リボンの騎士はベルばらと似てらっしゃいますね。』と徹子さんがおっしゃった時かなりムッとされて『僕のリボンの騎士の方がずっと先なんです。ベルばらの方が真似したんだ。』真剣に反論されていたのを観てご自身の作品に対する愛が感じられてほっこりしたのを思い出します。
 そういえば昔宝塚ファミリーランドが閉園になるニュースを聞いた時、ならば『手塚治虫ランド』を作ってほしいと強く思いました。現在ある手塚治虫記念館ではなく、ディズニー級のアトラクション満載のランド。ミッキーマウスが園庭を歩いているように、アトムやお茶の水博士、ブラックジャックがいて、ジャングル大帝動物園、アトムに代表するロボット未来工学エリア、ブラックジャックの医療エリア、あゝそんなランド見てみたかったなあ。このかわいいコップたちを眺めながら、そんな昔を思い出しています。

 これは玄関にかざってあるフィギアたち。ほんとよくできていて宝物です。

本との出会い、人との出会い

図書館でタイトルをなぞりながら読みたい本をゆっくり探すひととき。何気に選んだ本から人生の指針を見つけることもあります。『輝ける最晩年』サブタイトル『老人アパートの扉を開ければ』この二つの言葉のギャップに興味が湧き借本しました。これが雫石とみさんとの出会いです。もう亡くなった後の出会いでしたが、今も私にとって最も尊敬する女性の方一人です。赤貧の中両親を早く亡くし宮城から一人東京へ。日雇い労働しながらも世帯を持ちかわいい二人の娘にも恵まれ、これからという時に空襲で夫子供を亡くしたとみさん。これでもかと追い討ちをかける苦しみ悲しみの連続でした。ですがその人生のラストにこのタイトルの本を書いた彼女の輝けるものとは。資産の全てを投じて始めた『銀の雫文芸賞』老いをテーマにした作品を募集し優秀作品を表彰し冊子にまとめました。その冊子を愛おしく読んでいたとみさんが目に浮かびます。解体寸前の老人アパートの一室で、持ち物といえば行李一つに小さな文机。戦後婦人保護施設に入所し、不正、いじめ、賄賂、理不尽がまかり通る組織で自らを保ってこれたのは、紙切れに書いた短い日記でした。書くことで生きる目標を得た彼女は、65歳で『荒野に叫ぶ声』で文学賞を取り、その後作家として生きます。書くこと、伝えること、残すこと。最晩年に彼女が見つけた「輝けるもの」は権力でも富でもなく「書く」ことで心の自由を得るということでしょうか。物事に真正面に向き合い観察し、自分の考えを組み立てては壊し、壊しては組み立てる。とみさんの書く文章に迫力を感じます。ですが戦争で幼子二人亡くした思いだけは文字に書けませんでした。この8月で戦後80年。とみさんとの出会いを再び思い返しました。

アフリカ柄で夏服を

 毎日本当に暑くて歩いているとめまいがしそうです。とはいえ家でじっともしておれず、ヨイショと着替えていざ出陣。こんな日はアフリカ柄で作ったチュニックやワンピースで出かけます。奇抜な色合い、賑やかで楽しげ。ですが白や紺のパンツと合わせると意外と品良くて好きなんです。この夏4種類の布で作りました。布探しにアフリカまで行きたい気分です。

『クレアモントホテル』と映画『逢びき』

 気に入った映画、気になる映画をDVDに録画して引き出しに入れたまま、かなりの年月が経ってしまいました。コロナの自粛期間を境に外出が減り映画館にも足を運ばなくなりました。整理がてら眺めていると、目に入ってきた「クレアモントホテル」とても好きな映画です。最近の映画のように思っていたけど2005年製作、もう20年も前の作品だなんてびっくりです。とにかくこの映画の世界観が好き。原作をリスペクトしながらも、さらにピュアに練り込みぐっと心に染み込んでくる感じ。キャストも流れる音楽も最高です。その主人公サラが好きな映画が『逢びき』。私もこの映画大好きです。1945年の作品で勿論録画保管したので、はいこれも見つかりました。で、この2作改めて観賞。音楽があのラフマニノフでそれだけでも私にとって贅沢な映画です。『逢びき』の原題は『Brief Encounter』訳は『短い出会い』です。クレアモントホテルのサラとルードヴィグもやはり短い出会いでしたが、とても深い縁を感じます。時代を超えてやっぱり映画はいいわ〜と別世界に飛んでいるうち、何の整理もしないで1日が過ぎました。反省です。
 今日も酷暑で外出は控えて、などとコロナ自粛の頃みたい。何だかあれから生活が変わったなあ。年齢もとっちゃったし仕方ないんだけど日常って想いもよらないことで変わっていくものですね。