先日中古、廃盤レコードフェスに行ってきました。傷もあり聴くとプチプチと雑音が入ります。ですが、それすらも趣きがあるというか、音もCDより重く感じられ改めてハマってます。ウイルヘルム バックハウス演奏のベートーヴェン熱情、悲愴、月光はとても素晴らしいです。ヒットラーがファンだったということで、戦後ナチスの協力者と非難されアメリカでの演奏を拒否されたとか。でもその素晴らしい演奏はやがて世界で絶賛されます。
このレコードを聴くと、明治大正時代に活躍された久野久さんを重ねて聴いてしまいます。日本のピアニストのパイオニア、遅すぎるピアノとの出会いでしたが、人よりも何十倍練習して芸大教授まで上り詰めました。久さんが練習した後は鍵盤が血で真っ赤に染まっていたという逸話が残っています。叩きつけるような激しさでこのベートーヴェンを演奏したのだなあと思うと、迫力の中にある切なさが伝わってきます。ベルリン留学中失意の中38歳で命をたってしまった久野久さん。レコードを聴きながら、在りし日の二人の情熱を過ぎ去った時代と共に味わっております。